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多様なユニークネスからイノベーションへ「Around Beauty Meetup #5」開催

2020.09.8

美にまつわる社内外のさまざまなイノベーターがS/PARKに集まり交流する「Around Beauty Meetup」。 第5回目となる今回は未来の「ビューティー」を構成する大事な要素でもある「ダイバーシティ(多様性)」がテーマに掲げられた。幼少期をスイスで過ごしイギリスの大学を卒業、帰国後に複数の会社を経験後、現在ではDMM.make AKIBAのコミュニティマネジメントチームのリーダーとして活躍する真島隆大さんをゲストスピーカーとして招き、ひとりひとりの多様な個性を活かしてどのようにしてイノベーションに向かっていくかについて英語でのディスカッションがオンラインにて開催された。

当日はオンラインのMeetupに資生堂グローバルイノベーションセンターの様々な部署のメンバーが集った。今回はプレゼンテーション、ディスカッション共に英語での開催であるため、海外出身のメンバーも多く参加したのが特徴だ。

会の冒頭、fibonaのリーダーである中西裕子が今回のテーマについて、「資生堂は1872年の創業時より社員が脈々と受け継いできた遺伝子である“OUR DNA”の中でも『DIVERSITY ~多様性をただ認めるだけではなく、異なる価値観に共感しかけあわせることで、いままでにない新たな発想やイノベーションを創出していきます。~』と多様性の重要性を掲げています。今日は、多様性について理解を深めていただく貴重な時間になることを願っています。」と述べ、Meetupがスタート。

最初に行われたのは、文字チャットを使ったアイスブレイクセッション。それぞれ個々人の中に眠る多様性を掘り起こし他の参加者とシェアしてみようとのことで、各人が「It may not look like it, but I’m actually… (そうは見えないだろうけど、私は実は…)」というお題について普段は見せていない自分のことをチャットに書き込む。

あるメンバーが「It may not look like it, but I’m actually a shy guy!(僕は実はシャイなんです!)」と書き込んだ内容に「I don’t think so! (そうは思えないよ!)」と笑いが起きたり、別の海外出身メンバーからの「It may not look like it, but I actually like natto!(実は納豆好きなんです!)」という書き込みに「Me too!(私も!)」というコメントが続き驚きの声が挙がるなど、オンラインながらも参加者同士やファシリテーターとのかけあいで、場がするすると打ち解けあっていった。

違いを理解し、目的を共有することがイノベーションの第一歩

場が充分に温まったところでゲストスピーカーである真島さんがにこやかに登場。親しみやすい雰囲気でのプレゼンテーションが開始された。

真島さんが所属するDMM.make AKIBA は各種のものづくり機器を備えテクニカルスタッフによるプロトタイプのサポートも実施している施設だ。コワーキングとイベントのためのスペースでは年間100以上のイベントが開催されており、ハードウェアを中心に数多くのスタートアップと関係が持たれ、支援が進んでいる。
真島さんはこのDMM.make AKIBAで様々な企業とスタートアップ、そしてコミュニティを繋いでその成長を加速させるコミュニティマネージャーとして活躍している。

真島さんはまず彼の生い立ちから話し始めた。ABCもまだ上手に使いこなせない8歳のときに真島さんはスイスに引っ越し、そこで出会ったのは様々な国籍、言語を持つ人々。「その後イギリスの大学を卒業するまで僕は多様性のど真ん中にいました。」と語る真島さん。一方で、出身を聞かれるとすごく答えるのが難しかったという真島さんは当時の自分を「自分とは何なのかが定まらないIdentity Crisis(自己喪失)だった。」と振り返る。
その後、真島さんは「僕は日本人なのだから、自分のルーツである日本をもっと理解しよう。」と大学卒業後に帰国。セールスやマーケティング、アライアンスなどの仕事経験を通じ、現在の真島さんが目指す姿は「多様なスペシャリストが活躍できる環境をつくるジェネラリスト」だ。

真島さんがそんなジェネラリストを目指す背景には、多様性こそがイノベーションの鍵であるという考えがある。「僕たちはそれぞれ異なる唯一の存在なので、多様性はあらゆるレベルで存在しています。そしてそれこそが個々人やチーム、企業を強くするのです。」

その後、真島さんはDMM.make AKIBAに入居するスタートアップ企業の例を紹介しながら、新たなマーケットを開拓するために技術やプロダクトを開発する「0→1」タイプのイノベーションと、ある分野の技術を異なる分野のマーケットに適用する「A + 1 + !=@」タイプのイノベーションを紹介。

オープンイノベーションほど究極に多様性を活かせる環境はないとした上で、一方ではスタートアップと大企業の文化の違いで起こる難しさも存在し、ゆえにお互いの最も重要な価値観やその背景を理解しながら自分とチームで「共有する目的」を見つけ出すことの重要性を語った。コミュニティマネージャーはそのためのサポートをする存在でもある。
そして最後に、「ANYTHING should be much faster and easier if you work together.(どんなことでも、一緒に仕事をすれば、より早くより簡単になる。)」「To work together it is important to share goals, values, thoughts and to UNDERSTAND differences. (一緒に仕事をするためには、目標や価値観、考えを共有し、違いを理解することが大切です。)」というメッセージを共有してプレゼンテーションを締めくくった。

自らや仲間への「問い」を通じてコミュニティで共通の目的を見出す

続いて行われたのは、資生堂グローバルイノベーションセンターの小玉晶子とアリソン・ロインド、タリア・ニエムの3名を交えてのパネルセッション。小玉はマーケティングや製品開発の経験を活かしながら現在では資生堂グローバルイノベーションセンター「S/PARK」全体のカルチャー/ワークスタイル変革と、下層階にあるBeauty Barなどのコンテンツを始めとするS/PARKの魅力伝播に従事している。アリソン・ロインド、タリア・ニエムは共に海外出身の研究者だ。アリソンはアメリカ出身で昨年、現地の大学を卒業して資生堂に入社した。学生時代は経済学と生物学という異なる2つの学問を専攻していた。タリアは多様な民族と文化が入り混じるカナダのモントリオール生まれだ。大学時代の京都への交換留学をきっかけに修士課程から日本に留学、バイオエンジニアリングで修士号を取得し、アリソンと同じく昨年から資生堂グローバルイノベーションセンターの一員だ。

「まず最初に、外部との多様な関わりの中でのイノベーション、他社や生活者の皆さんとの共創について話してみたいと思います。DMM.make AKIBAにはスタートアップから大企業、フリーランスまで本当に多様な人たちが集まっているということですが、実際に真島さんが多様な人たちをイノベーションへ橋渡しする上ではどんな苦労があるのでしょうか?」という質問が司会であるfibonaメンバーの古賀由希子から真島さんに投げかけられた。

「実は、DMMの営業チームとコミュニティマネージャーチームでもゴールが簡単には一致しないんです。営業チームは大企業の文化で、コミュニティマネージャーチームは普段一緒に過ごしているスタートアップの文化に近いものを持っています。なので、必要なときには営業チームに『それって本当に協業しているスタートアップのためになるんですか?』と問うこともあります。そうやって本来の目標に立ち戻っていきます。」と、真島さん。

次に、古賀から小玉に向けて「S/PARKではどのようにしてお客さまとの共創に取り組まれていますか?その中で大事にしていることや気になりごとは何でしょう?」という質問が投げかけられると、小玉は「S/PARKでは、『多様な人と知の融合』というスローガンのもと、様々なコンテンツを通じたお客様との関わりの中で研究員がイノベーションに近づくための支援をしていて、現状に甘んじずどんどん仕組みをアップデートしたいと思っています。一方では、このコロナウイルスの環境下でお客さまのご来館が難しい状況もあり、今後このニューノーマル(新たな生活様式)の環境でどのようにリアルなコミュニケーションを可能にしていくのかが大きなチャレンジですね。」と回答した。

真島さんからも小玉からも、様々な人が交わるコミュニティを起点にイノベーションに繋げていくためには、諦めることなく常に自分たちや仲間に問いを投げかけながら共通の目的や価値を探ろうとする姿勢がうかがえた。これがまさにコミュニティマネージャーの重要な要素なのかもしれない。

恐れずに言語と文化を共有・統合して話せる場をつくろう

話は次のトピックへ。古賀から「次は組織内での多様性とイノベーションについて考えたいと思います。海外出身で最近入社した2人はどのように感じているのか教えてください。」とタリアとアリソンへの質問が投げられた。

「海外出身のメンバーだけでなく、真島さんが言っていたように日本人のメンバーの中にも多様性は存在します。ダイバーシティを考えるときには、一緒にインクルージョンを考える必要があります。すでにここには多様なメンバーがいるので、その多様なメンバーをどのようにして会話や意志決定に巻き込んでいくのかが私は重要だと考えます。」とタリア。

それを受けてアリソンは「私が資生堂グローバルイノベーションセンターの一員になっていちばん驚いたのは、日本の同僚の皆さんが『英語じゃなくてごめんね』と謝ることなんです。私は、日本では日本語で話すのが当然じゃないかと思っていたんです。きっと大事なことは、完全に英語や西洋の文化に寄せることではなく、日本流のやり方と西洋など異文化でのやり方とを統合していくこと。そんな風に多様なカルチャーを統合することこそがユニークだし、イノベーションが起こる環境ではないでしょうか。」と語った。

アリソンは、西洋と日本の文化の違いについて「アメリカ、特にスタートアップの文化では、リスクを取ることや失敗を重ねることこそが成功にとって必要なことだと考えられています。一方、日本では失敗を怖がりすぎたり、許容しない傾向があるようにも見えます。私たちは失敗から沢山のことを学んで成長するものです。日本にも『七転び八起き』ということわざがありますが、私はこの言葉が大好きです。もっとリスクを許容してチャレンジすることがイノベーションに近づくために必要なのかもしれません。」とも語り、真島さんも様々な国の出身のメンバーがいるスイスのサッカーのナショナルチームの例や、エンジニアやプランナーなど様々な業種のメンバーが共通の目的を探しながらチームをつくっていくハッカソンの事例を挙げながらこの話に同意をした。

また、アリソンとタリアは現在、研究所の中で他の言語を教え合う「言語を交換するバディプログラム」を提案し、チャレンジしようとしている。
「このプログラムを通じて、言語が学べるのはもちろん、お互いの多様な文化を理解し、それをイノベーションに繋げるきっかけにできたらと思っています。日本のみなさんはついついうまく発音ができていないのではないかと怖がって英語で話せなかったりします。でも、私も日本語を話すときはたくさん失敗をします。入社してしばらくは私も失敗が怖くて海外出身のメンバーばかりで集ってしまい日本人のメンバーと一緒に過ごす時間が持てないでいました。このプログラムでは、失敗を咎められずジャッジもされない安心して話せる環境が作りたいと思っています。」と語るアリソンに、真島さんはじめパネルセッションのメンバーは「バディになろう!」「ぜひ参加したい!」と同意を示してパネルセッションを締めくくった。

その後の参加者からのQ&Aセッションでは大企業の中でどのように個々のアイデンティティやユニークネスを発揮すればよいかについてなどの質問が飛び出した。

さらに最後のアジェンダでは参加者同士の小グループでのディスカッションタイムが設けられた。ニューノーマルな環境下では対面での新たな出会いの機会が減っている。今回の小グループでのディスカッションタイムは、短い時間ではあったものの、新たな出会いのきっかけになったと海外出身のメンバーや新入社員のメンバーを中心に喜びの声が挙がっていた。

イノベーションに向けて多様なユニークネスを発掘・表現する

クロージングのメッセージとして、fibonaプロジェクトオーナーの荒木秀文は「多様性はイノベーションにとって不可欠です。新たなイノベーションは一見衝突や対立する多様な考え方を統合することで生まれてきます。」と改めてダイバーシティとイノベーションの関係について述べた。

「真島さんのプレゼンの中で『Diversity exists at all levels, because we are all UNIQUE.(僕たちはそれぞれ異なる唯一の存在なので、多様性はあらゆるレベルで存在しています。)』というメッセージが最も印象的でした。皆ひとりひとりが自分自身のユニークネスを見つけ出すためにも、私たちはもっと自分のアイデアを表現していく必要があります。野心や情熱を表に出していきましょう。」

はじめて全編英語で開催された第5回目の「Around Beauty Meetup」。多様性をテーマにする会の趣旨の通り、パネリストも聴講者も多様な国の出身者や帰国子女のメンバーが参加して盛り上がった。

出身地、会社、部署など様々なレベルで文化や価値観は異なるものであるし、個々人で目指すものや強みや弱みもそれぞれ違っている。そのような中で自分の想いを表現するのは勇気がいるし失敗が怖いかもしれないが、まずは表現して共有すること、そして理解することがイノベーションの第一歩。今回のように安心してディスカッションできる機会がその一歩のための大事な時間なのではないだろうか。

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Cultivation

ビューティー分野に関連する異業種の方々と資生堂研究員とのミートアップを開催し、美に関する多様な知と人を融合し、イノベーションを生み出す研究員の熱意やアイディアを 刺激する風土を作ります。

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