INSPIRATION/S

YOKOHAMA COLORS by Parker Fitzgerald

資生堂のグローバルイノベーションセンターであるS/PARKのインスピレーションを発信するべく、世界各国のアーティストに「INSPIRATION/S ー 美のひらめきと出会う場所」というメインテーマを自由に解釈し、表現してもらうプロジェクトがスタート。第一弾となる今回は、ポートランドを拠点にフォトグラファーとして活躍するパーカー・フィッツジェラルドさんにフィーチャーした。「YOKOHAMA COLORS」という題名の通り舞台となるのはS/PARKが位置する街、横浜。「美」の象徴としての花を多用し、横浜の風景を鮮烈に切り撮った撮影の様子をお届けする。

3月某日の明け方、2台のロケバスは都内を出発し横浜の海岸に到着した。まだ薄暗い寒空の下、フォトグラファーのパーカーさんは大量の花を一輪づつ手に取っては余分な葉を落としたり、仕分けをしたりしてこれから始まる撮影の準備をしている。この日のために用意された赤と白の花は、カーネーションにチューリップ、ポピーにツバキなど。どれもパーカーさんが市場に出向き自ら選んできたものだ。

この日撮影を行えるのは、朝日が顔をのぞかせてから昇りきるまでのわずかな時間のあいだ。モデルが登場するとパーカーさんは手際よく、時折考えながら花を選び、モデルとそのまわりに配置していく。3種類のフィルムカメラとデジタルカメラを使い分け、シャッシャッ、と心地良いスピードでシャッターを切り続ける。そうしてパーカーさんが構えるファインダー越しの世界の中では、荒々しい雰囲気の早朝の海辺と花とが見事に、どこかノスタルジックに融合しているのだ。

「アイデアは撮影前から頭の中にある場合と、現場でひらめく場合の半々です。今回の撮影で使用した透明の衣装には、一目見た瞬間から花を詰め込むことを考えていました。袖の膨らみ具合といい、トランスペアレントな素材といい、花のための容器にすら思えました。逆にチューリップを使用したカットは悩みましたね……。はじめは衣装の赤いドレスにテープでつけることを想像していましたが、花の重みでそれが上手くいかない。さてどうしようかと考え、首まわりに差し込むことにしましたが、とても上手くいったと思います」。そう語るパーカーさんの代表的な作品のひとつには、花を題材とした一冊の本『OVERGROWTH』がある。フラワーデザイナーのライリー・メッシーナさんとのプロジェクトで、身近な人々を花で飾り立てたポートレート集だ。「(あのプロジェクトのおかげで)花の扱い方に関する経験値は高まりましたね。ですが、もとから自然を撮ることが好きで、特に花は撮るのが楽しい要素の一つです」

温室、湾岸の倉庫、岸壁、そしてS/PARKという4つのロケーションで行われた今回の撮影についてパーカーさんはこう振り返る。「実ははじめに想像していたものとは異なるものが完成したんです。ただそれは僕にとって、珍しいことでも、悪い意味でもありません。幼いころから僕にとっての日本はいつもインスピレーションの源で、今回も訪れる先々でたくさんのひらめきに出会い、それを反映していった結果、とても思い入れのある作品が完成しました」。

Parker Fitzgerald

1984年、ウィスコンシン州生まれ。 2013年にクリエイティブ・エージェンシーのRansom Limitedを創業。米国オレゴン州ポートランドを拠点に活動するフォトグラファー。ポートランド発のライフスタイル雑誌『KINFOLK』の初代メインフォトグラファーとしても知られ、自身の作品集は世界中で出版されている。

https://www.parkerfitzgerald.com/