FEATURE: S/PARK Museum

サイエンステーブル④「スキンケア」

「Science × Art」、「Life of Beauty」、「Innovations in Beauty」、そして「Future」の4つのゾーンで構成されるS/PARK Museum。ただ見て回るだけでなく、各ゾーンではミュージアム全体のテーマである「美」にまつわるさまざまな問いを投げかけられ、理科の実験のようなインタラクティブな体験ができる場所となっている。今回はなかでも一番の見所である「Science × Art」ゾーンに設置された6つのサイエンステーブルから、「スキンケア」の展示についてご紹介。

美容や化粧の基礎となる、スキンケア。そのスキンケア製品を15年以上にわたり研究しているのが、化粧品イノベーションセンターの高橋繁郎さん。高橋さんが企画段階から関わったこちらのサイエンステーブルでは、肌の構造やスキンケア製品の役割について体験を交えながら学ぶことができる。

「まずはご自身の肌の状態について知っていただきます」と手にしたのは、肌のきめを拡大観察できるマイクロスコープ。実際に自分の手の甲、腕の内側、頬にマイクロスコープを当てていく高橋さん。「ちょっと肌のきめが荒れていますね。お手入れ不足なので」と、苦笑い。このように、スキンケアの仕方によっても肌の状態は変化するという。

「肌のきめが綺麗な三角形になっていれば、肌の状態が良いということです。逆に三角形が崩れていると、肌の状態が悪いということになります。紫外線を浴びたり、スキンケアを怠っていたりするとバリア機能が下がり、三角形が崩れてきてしまいます」と説明する高橋さん。

次に案内してくれたのが、肌の構成成分について学ぶことができるタッチパネル。モニターに手をかざすと「肌は主に水と脂質(油)と、NMF(保湿成分)で構成されています」との表示が現れる。

「実は、乳液も肌の構成成分と近い『水・油(エモリエント成分)・うるおい成分』で作られているんです」と高橋さん。「ですが、ドレッシングと同じで、普通は水と油は均一には混ざりませんよね?これを均一に混ざるようにするのが、化粧品の乳化技術です」

そこで見せてくれたのが、水と油が均一に混ざるようにする「乳化」を擬似体験できる装置。上部のスイッチを押すと機械が細かく振動し、実際に乳化実験をしているような感覚が味わえる。水と油に対し適切な乳化剤を入れて強い力を加えることで、それぞれが均一に混じり合うのだという。こうして出来上がるのが、乳液やクリームなどのスキンケアアイテムだ。

次のコーナーでは感触の異なる4種類の乳液を実際に肌に塗って試すことができる。私たちが普段目にする「さっぱり」や「しっとり」などのタイプは、乳化時の力加減や油分(エモリエント成分)やうるおい成分の量がとても大きく影響するとのこと。テクスチャーの違いを体験していると、「水・油(エモリエント成分)・うるおい成分の絶妙なバランスと乳化技術を駆使して、皆さまにより心地よく使っていただけるような製品を、これからも発表していきたいですね」と高橋さん。

美容や化粧において、まず大切なのは肌づくり。健やかな肌のために欠かせない毎日のお手入れも、スキンケア製品の開発について知ることで、きっとより楽しくなるはず。