FEATURE: S/PARK Museum

Innovations in Beauty Zone

「Science × Art」、「Life of Beauty」、「Innovations in Beauty」、そして「Future」の4つのゾーンで構成されるS/PARK Museum。ただ見て回るだけでなく、各ゾーンではミュージアム全体のテーマである「美」にまつわるさまざまな問いを投げかけられ、理科の実験のようなインタラクティブな体験ができる場所となっている。今回ご紹介するのは、資生堂の最新の研究開発に触れることが可能な「Innovations in Beauty」ゾーン。

遡ること1872年に西洋薬局として始まり、1916年に試験室を開設して以来、100年以上にわたり「美」の研究開発に取り組み続けてきた資生堂。その研究は化粧品を生産するための皮膚科学だけにとどまらず、あらゆる科学領域に及んでおり、このゾーンではその研究や開発をピックアップして紹介している。

「IFSCCという名前は耳にしたことがありますか? 資生堂は常に『新しい美しさの実現』に挑み続けてきた結果、この権威ある大会で何度も発表し、世界最多の受賞数を誇っているんです」と、笑顔で案内するのはS/PARK Museumを担当する資生堂 社会価値創造本部の櫻井英里。

カラフルな仕様が目を引くこちらの賞状は、世界中の化粧品技術者が集う国際機関・IFSCCが主催する国際大会で受賞した際のもの。

隣に並ぶのは、肌を切らずに皮膚の内部を撮影できる技術や、肌のしみの内部にある血管の異常を可視化できる技術について紹介したパネルや動画など。普段なかなか触れることはないが、毎日使用している化粧品をつくるために行われている研究や技術開発についてわかりやすく説明されており、一見すると難しい内容をこうして楽しみながら知ることができるのは、研究所内にあるS/PARK Museumならではのことだ。

「この小さなスクリーンにも是非、注目してください。資生堂の社員ですら、もしかすると知らないような面白い小ネタが出てきたりするのです」と、櫻井。
「イグ・ノーベル賞といって、ちょっとユニークな研究に対して与えられる賞があるのですが、それを初めて受賞した日本人というのが資生堂の研究員でした。その方は『足の指の間の匂いはなぜ臭いのか?』という研究をしていたのですが、それが今行われている加齢臭の研究につながっていたりするんです」

さまざまな分野の企業とのコラボレーションによって生み出された製品やプロジェクト等も紹介される。

「このネイルチップとデバイスは、ファッションとテクノロジーを組み合わせ、視覚障害者の方の外出をもっと楽しくするアイテムとして開発されました」と言い、櫻井が紹介するのは「BRAILLE NAIL」。親指のネイルを、首からぶら下げたカメラデバイスにかざすことで、目の前に何があるのかをAIが音声で教えてくれるというものだ。「サービスとして提供できる未来に向けて、現在も開発が続けられています」とのこと。

「『新しい美しさの実現のためには?』ということを常に考えながら、このS/PARKでは日々たくさんの研究が行われています。その一部ですが、こうしてよりたくさんの方に知っていただけると嬉しいと思い、定期的に展示内容も更新しています」と櫻井は語る。

美しさを追求し続ける資生堂のイノベーションに触れに、S/PARKに訪れた際には、是非足を運んでみてほしい。