FEATURE: S/PARK Museum

Science × Art Zone② – アート壁面展示

「Science × Art」、「Life of Beauty」、「Innovations in Beauty」、そして「Future」の4つのゾーンで構成されるS/PARK Museum。ただ見て回るだけでなく、各ゾーンではミュージアム全体のテーマである「美」にまつわるさまざまな問いを投げかけられ、理科の実験のようなインタラクティブな体験ができる場所となっている。今回ご紹介するのは「Science × Art」ゾーンの壁面展示。歴代の資生堂製品のパッケージデザインに触れながら、その美意識について知る。案内するのは、S/PARK Museumを担当する、資生堂社会価値創造本部の櫻井英里。

6つの「サイエンステーブル」をぐるりと囲むように、色とりどりの製品パッケージが並ぶ壁面展示。ここでは資生堂化粧品のアートに対する考え方を5つのテーマに分け、実際の製品を使いながらご紹介。各コーナーでは「美」にまつわる問いが投げかけられるので、展示を見ながら自分の答えを探してみてほしい。

まず1つ目のコーナーのテーマは「色」。製品を色ごとに分けて展示し、「色にはどんな意味があるの?」と問いかける。
「例えばこちらでは『赤』は『血の巡り』や『高揚感』をイメージした色として使用されています。パッケージに使用される色がお客さまに与えるイメージというのを想像しながら、ぜひ見てみてください」と、櫻井。

2つ目のコーナーは「形」がテーマ。初めて発売した化粧品である「オイデルミン」の美しいボトル同様、生産にかかる手間を惜しまず、さまざまな形状のパッケージに挑戦してきた資生堂のこだわりようを見てとることができる。

「1980年台のバブル期には重厚感を意識したガラスのパッケージの製品が多く作られていたそうです」と、櫻井。時代ごとにパッケージデザインを見ていくと、当時の時代背景も感じることができて面白い。

櫻井は、「その昔は今よりもずっと、パッケージの形にこだわった製品を生産するのが本当に大変だったそうです」と付け加える。資生堂創業者である福原有信、そして初代社長の福原信三の、並々ならぬ美意識が伝わってくる。

次に現れるのは何個も集めたくなるような色展開が豊富なスキンケア製品や、きのこの形をしたシャワーコロン。そんな賑やかな雰囲気の3つ目のコーナーのテーマは「遊び心」。

資生堂は楽しみながら使える化粧品を作るため、遊び心を忘れずに持ち続けてきた。そんな思いが込められたデザインはどれも強い印象を持っているので、思わず「懐かしい!」と、心ときめく往年の製品を見つけられるかも。

美しさを表現する上で、重視するべきは「見た目」だけではない。4つ目のコーナーでは、商品の形や重さ、硬さと柔らかさなどの「使い心地」や「触れ心地」へのこだわりをご紹介。

ここでは、見た目は一緒でも重さの異なる口紅や硬さの異なる毛が使用されたブラシなどに触れ、その違いを体感してみよう。スキンケア製品や化粧品は毎日繰り返し手に取るもの。だからこそ何気なく感じる小さな心地よさや美しさが大切だ。そんな感覚を、ぜひここで味わってみてほしい。

最後のコーナーでは「流行にのる必要はある?」と問いかけながら、資生堂のアイコニックな「唐草模様」をフィーチャー。製品のパッケージだけでなく包装紙や新聞広告、さらには本社ビルの外観にまで多用され、創業当初からひとつの象徴として資生堂の美意識に寄り添い続けてきたモチーフが、唐草模様だ。ここではその流行にとらわれない美しさについて、さまざま時代のアートとともに紹介している。

資生堂の歴代商品のパッケージが、これほど多く揃えられて常設されているのはS/PARK Museumだけ。ぜひ足を運んで、時代とともに変容する美しさについて研究し、提案し続けてきた資生堂の美意識を感じてみてほしい。