FEATURE: S/PARK Museum

サイエンステーブル① 太陽と仲良く付き合うための「サンケア」

「Science × Art」、「Life of Beauty」、「Innovations in Beauty」、そして「Future」の4つのゾーンで構成されるS/PARK Museum。ただ見て回るだけでなく、各ゾーンではミュージアム全体のテーマである「美」にまつわるさまざまな問いを投げかけられ、理科の実験のようなインタラクティブな体験ができる場所となっている。今回はなかでも一番の見所である「Science × Art」ゾーンに設置された、6つのサイエンステーブルから「サンケア」技術についてご紹介。


「サンケア」のサイエンステーブルの企画・設計を担当したのが、資生堂サンケア製品開発グループの研究者である清水秀樹さん。「太陽の下でも日焼けを気にすることなく、生き生きとアクティブに活動してもらえるように」という一心でサンケア技術を日々開発し続けており、「アネッサ」等のサンケア商品も手がける。

「人間には紫外線の光が見えないので、紫外線がどれだけ自分の肌に当たっているのかということがわかりません。そのため知らず知らずのうちに紫外線を浴びてしまっています。そこでこのサイエンステーブルでサンケアについて知り、紫外線の存在をより意識していただきたいと思います」と、清水さん。


まず案内をしてくれたのが、普段人間の目では見ることのできない紫外線を光として見ることができる装置。はじめに女性のイラストが描かれたカードプレート2枚を、クリームが塗られた板の下に設置。装置のボタンを押すと、特殊な青い光で紫外線が照射される。すると紫外線防御効果のないクリームの下に置かれたカードプレートのみ、女性の肌色が変化しているのがわかる。クリームで防御されず、紫外線に反応した方のカードプレートのみ色が変わるという仕組みで、同じことが太陽光を浴びた際に自分の肌にも起こるということがイメージしやすくなっている。





次は、日焼け止めの持続性を高める技術について知ることができる装置へ。ボタンを押すと、円盤の上に向けて水滴が落ちるようになっている。円盤に落ちた水滴は不思議なことに、まるでフライパンの上の油のようにコロコロと皿の上を滑っていく。「汗や水に濡れると肌に塗った日焼け止めはどうしても落ちやすくなってしまいます。この問題を解決するために撥水処理をした粉末を使うんですが、その粉末が塗られています」と、清水さんが教えてくれた。



その脇に並ぶのは、資生堂から発売された歴代のサンケア商品。紫外線が肌に与える影響にいち早く注目し、大正時代には日焼け止めを発売した。以来、今日も「毎日使えること」「心地よく、仕上がりよく使えること」「しっかり守れること」をポイントに技術の研究が進められている。中でも清水さんが担当する「アネッサ」は、象徴的なサンケア商品だそう。「それまではいかに耐水性を上げられるかというところで技術開発を競っていたのですが、「アネッサ」には逆転の発想を取り入れることに成功して、水に触れるとより紫外線の防御膜が強くなる技術が採用されています」。



こうした実験装置や展示の他にも、紫外線の種類と日焼け対策、日焼け止め製品の選び方などを楽しく学ぶことのできる動画や説明テロップが展開されている。サイエンステーブルをぐるっと一周するだけでも、サンケアについて少し、詳しくなった気になれるかもしれない。