fiBona

社外との接点から、ビューティーの分野でこれまでにない価値の創出を加速させるプロジェクト”fibona”。 その活動のひとつとして、イノベーションを生み出す研究員の熱意やアイディアを刺激する風土づくりを進めている。 その活動の１つとして、美にまつわる社内外の様々なイノベーターが集まって対話を行う「Around Beauty Meetup」の記念すべき一回目が「Tech × 習慣で実現する Beauty の世界」をテーマにS/PARKにて開催された。

この日参加した人のほとんどは初対面。「オノマトペ」を使った自己紹介で会場の空気が温まったところで、ゲストスピーカー2名を迎えたトークセッションがスタートした。ゲストスピーカーとして登壇したのは、「healthServer (ヘルスサーバー)」を主力商品として取り扱うドリコス株式会社 代表取締役 竹康宏さんと、「三日坊主防止アプリ “みんチャレ”」を運営する A10 Lab Inc. 代表取締役 CEO 長坂剛さん。今回のテーマである「習慣化」という観点から、それぞれ自社のサービスについて語ってくれた。

「健康には2つステップがある。まず自分の健康状態を認知すること。そして改善すること」と、切り出す竹さん。スマートデバイスやヘルスケアアプリなどは年々進化を遂げているものの、それらが達成できるのはひとつめのステップである「健康状態の認知」というところに未だ留まっているそう。そこで、竹さんの会社ではオーダーメイドでサプリメントをカスタマイズし、提供してくれるサービス「healthServer」を開発、販売している。 日本のサプリメント業界の市場規模は約1.5兆円にもなると言われているものの、実際にサプリメントを摂取している日本人のうち、約半数は効果を実感できていないという実情がある。では、サプリメントの栄養素によって身体の調子が整うために大切な条件とはなにか。それは「品質の良いものを飲む」、「利用者の状態に合わせて選んだものを飲む」、「摂取の仕方をコントロールする」ということ。ドラッグストアやコンビニで売られている大手のサプリメントは、購入者が品質にこだわることはできても、一人一人に合わせて栄養素をカスタムしたり、摂取の仕方をコントロールしたりすることは非常に難しい。この後者の2つの問題を解決するための手助けを行なってくれるのが、「healthServer」だ。習慣化のためのアクションをテクノロジーが行うことによって、ユーザーがサプリメントを効果的に摂取できる、そういったサービスの展望に可能性を見出し、研究を続けている。

一方、長坂さんが運営する「みんチャレ」は、同じ目標を持った匿名のユーザーが5人1組となって目標達成のために日々の行動を報告し合い、励まし合うコミュニティを形成するアプリケーション。設定される目標は、糖尿病などの生活習慣病の改善から、ダイエット、睡眠改善など、実にさまざま。現在、デイリーのアクティブユーザー数は13,000人を突破し、Google Play では「ベストアプリ」を2年連続で受賞している。Apple Store での評価も、満点である5つ星のものが目立つ。なぜ、「みんチャレ」がこんなにも支持されるのか。ひとつは、ユーザー間で「証拠写真」を送り合うことでの自己認知のアップ。さらには似た境遇の人からのサポートによってモチベーションが向上し、習慣化が続くことも大きな理由と言えるだろう。「行動変容と習慣化で、みんなが幸せになる世界を一緒につくりたい」。長坂さんはそんな企業理念を掲げ、最近では企業とも積極的にコラボレーションし、企業が抱えるユーザーの継続率向上や、インサイトの発見から習慣化に取り組んでいる。

続いて、パネラーからの質疑応答へ。「改善というステップを継続させるには？」「ユーザーのアプリやサービスからの『卒業』をどのように見ている？」などといった質問が飛び出した。その後は、参加者が5人1組となって各々が話したいテーマを出し合って対話するアンカンファレンス方式でのトークセッションを実施。一人一人が積極的に話し合いに参加し、自身の意見をアウトプットすることで、新たな発見と刺激に溢れた建設的な時間となった様子。

プログラム終了後には、懇親会の時間が設けられた。 S/PARK Cafe (エスパーク・カフェ)によるケータリングが振る舞われて、参加者たちは自由に歓談のひとときを楽しんだ。

最後に、fibona のオーナーである資生堂 R＆D 戦略部長の荒木秀文氏が登壇。「偶然の出会いの中からイノベーションを生むということにチャンスがある。資生堂がイノベーションの生まれる場として認識されてゆくことで、人が人を呼び、指数関数的にみんなのネットワークが広がっていくというのはすごく最高なことだと思います。このような会をどんどんやっていきたい」と、fibona への今後の展望を語り、「Around Beauty Meetup」第一回目を締めくくった。