fibona初の海外プレゼン審査開催、韓国のスタートアップ企業と共創へ
2022.02.10資生堂研究所のオープンイノベーションプログラム「fibona」の活動の柱のひとつ「Co-Creation with Startups」では、スタートアップ企業の斬新なアイデアやユニークな技術を当社の研究領域の知見・技術・サービスと融合させてイノベーションの創出を目指す。国内企業が対象だった2019年の第1期、2021年11月の第2期とは異なり、第3期となる今回は韓国のスタートアップ企業を対象とする試みとなった。
2021年12月6日、スタートアップ企業との連携を目指した最終プレゼン審査をオンラインにて開催した。
テーマは「Medical Beauty」。韓国企業が得意とする美容領域の先進的なテクノロジーと、資生堂のサイエンス・知見を掛け合わせることで、これまでにない美容体験やサービスなどの価値創出に挑戦する。
韓国貿易協会(KITA)が保有するオープンイノベーションプラットフォーム「Innobranch」を通じて集まった応募は約60件。書類選考を経て選ばれた5社が、オンラインによる最終プレゼンテーション審査に挑んだ。
日本と韓国をつなぐ、オンライン最終審査初開催
韓国と日本をオンラインでつないで開催された今回の最終審査の審査員は7名。これまでの全スタートアップ審査で審査員を務めてきたR&D戦略部長の荒木秀文をはじめ、チーフブランドイノベーションオフィサーの岡部義昭、チーフテクノロジーオフィサーの吉田克典、シーズ開発センター長の佐藤潔、中国事業創新投資室 ビジネスイノベーションCOEヘッドのキャロル・ゾウ、資生堂(中国)研究開発中心有限公司 価値創出企画部長の才脇卓也、資生堂アジアパシフィックイノベーションセンター Directorの大澤友が務めた。(※役職は最終審査開催当時)
各社のプレゼン時間は5分。その後、審査員からのQ&Aセッションがそれぞれ設けられた。Q&Aセッションでは、各社が強みとするテクノロジーの特性を深く尋ねるものが多かった。
「従来の素材と比較すると、どういった優位点があるか?」
「ヒトの皮膚への浸透性についてデータはあるか?」
「同様の技術は資生堂でもすでに出ているが、違いはあるか?」
また、各国の規制をめぐる質問も飛び出すなど、グローバル展開を意識した議論が進んだ最終審査となった。
未来のビューティーを切り拓く、韓国スタートアップの最新技術
5社による白熱したプレゼンを経て、fibonaの取り組みでは初めてとなる海外の共創パートナーとして採択したのは「LABnPEOPLE(ラブンピープル)」となった。
LABnPEOPLEが積極的に開発してきたのは、生体が吸収できる金属であるマグネシウムを活用したマイクロニードル(微細な突起物)だ。髪の毛よりも細いマイクロニードルを通じて、肌状態の改善が期待できるパッチなどを開発している。このテクノロジーを活かして、同社はスキンケアブランド「Snow2+(スノーツープラス)」を展開。2021年には日本でも特許を取得している。
同社でCEOを務めるCho Sung Youn氏は、このテクノロジーをさらに応用させたソリューションの構想を提案。「安全性が高く、パフォーマンスにも優れている。我々は今後、この技術をヨーロッパ、シンガポール、マレーシア、アメリカでも展開していく予定だ」と、ユーザーのさまざまな審美目的を叶えるプロダクトの可能性をプレゼンした。
資生堂は2011年にヒアルロン酸マイクロニードルを発売してから、マイクロニードルが肌に与える効果について研究を重ねてきた。また過去の学術知見から、表皮におけるイオンと、肌が持つ機能の関係性が知られており、資生堂はそのメカニズムの解明を進めてきた。
今回の共創では、LABnPEOPLEの持つマグネシウムマイクロニードルの技術と、資生堂の持つ肌に関する研究知見や基剤技術を組み合わせ、新たなソリューションの開発を目指す。
海外のスタートアップとの共創へ
予測困難な時代に、独力でスピード感を持ってイノベーションを起こすことは容易ではない。同時に、優れたアイデアやテクノロジーを持っていても、市場やマーケットのユーザーにリーチできなければすぐに普及するのは難しい。
資生堂の研究所が培ってきた皮膚科学に関する知見と、LABnPEOPLEの最新テクノロジーを活かして開発したマイクロニードル。大企業とスタートアップ、日本と韓国。両者が連携し、それぞれの強みを掛け合わせることで、どのような化学反応を生むことができるか。
日韓のコラボレーションによる新たなビューティーイノベーションに期待して欲しい。
(text: Hanae Abe edit: Kaori Sasagawa)
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Co-creation with startups
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