FEATURE: S/PARK Museum

Science × Art Zone① – オイデルミンからスタートした資生堂のサイエンスとアート

「Science × Art」、「Life of Beauty」、「Innovations in Beauty」、そして「Future」の4つのゾーンで構成されるS/PARK Museum。各ゾーンではこのミュージアム全体のテーマである「美」にまつわるさまざまな問いを投げかけられ、理科の実験のようなインタラクティブな体験を通じながら、自分なりの答えについて考えを深めることができる場所となっている。

今回ご紹介するのは、ミュージアムの入口にもなっている「Science × Art」ゾーンにある円柱型のコーナー。こちらでは資生堂の化粧品作りの基礎となった商品、「オイデルミン」をピックアップしている。

「当時、西洋の処方を取り入れた化粧水も、デザインにこだわったパッケージも、どちらも非常に珍しいものでした」と話すのはS/PARK Museumを担当する、資生堂社会価値創造本部の櫻井英里。1872年に洋風調剤薬局として創業した資生堂は、その25年後の1897年にこの『オイデルミン』という化粧水を発売し、化粧品業界へと進出した。

こちらのコーナーは、その「オイデルミン」の歴史や仕様について知りながら、資生堂の「サイエンスとアート」に対する考えや姿勢を感じ取れるというもの。

「オイデルミンの発売後、資生堂はサイエンスとアートという2つの軸を確立させるために1916年に『試験室』と『意匠部』を作りました」と櫻井。この2つの部署は、後の研究所である資生堂グローバルイノベーションセンターと、アートやクリエイティブを担う資生堂宣伝部、現在のクリエイティブ本部につながっていったのだそう。

「サイエンスとアートという2軸を確立させるきっかけとなったオイデルミンは資生堂の化粧品の原点となり、現在もリニューアルを繰り返しながら、最も歴史の長い製品として愛され続けています」

まず、コーナーの中心にある円柱にはめ込まれた画面に流れるのは、「オイデルミン」を象徴的に紹介したムービーコンテンツ。その脇にはボトルやリボンの形状が異なる、12通りの「オイデルミン」が並ぶ。約120年前に考えられたものとは思えない、洗練されたそのデザインを間近で見てみよう。

奥には現行品も含む「オイデルミン」の歴代パッケージが展示されている。現在のスタイリッシュな赤い長方形のパッケージからはなかなか想像のつかない、ピンクの色味とリボンが可愛らしい初代のデザインというのは、少し意外に感じられるかもしれない。

こちらの展示は、製品の洗練されたパッケージデザインの中から自分の好みのデザインを見つけてみるといったもの。このほかに製品パッケージの材質ごとに異なる手触りを実際の製品で比べてみたり、「オイデルミン」の発売当初から天然成分にこだわっている香料を嗅いだりして、資生堂のこだわりを五感で感じとりながら、さまざまな方法で表現される美しさに目を向けてみてほしい。

※2020年12月現在は感染予防のため一部の体験不可

当時、最先端の科学技術を美しいパッケージで包んだ初代「オイデルミン」。サイエンスとアート、そのどちらかだけではなく両方を重要視する姿勢は、今日の資生堂にも脈々と受け継がれている。「こちらのオイデルミンのコーナーは、S/PARK Museumのシンボリックな場所です」と、櫻井。

「ミュージアムに訪れたら、まずはこちらのコーナーでオイデルミンについて知っていただき、壁面に続くパッケージデザインの展示で資生堂のアートを、そして6つの「サイエンステーブル」でサイエンスの側面について、ぜひご覧になって行ってください」