FEATURE: S/PARK
S/PARK 春のイベントレポート
広く開放された美の複合体験施設として、2019年4月にオープンしたS/PARK。4周年を迎え、アニバーサリーイベントも開催された。S/PARKならではの、商品開発や先端技術の研究に携わる研究員たちとの交流を中心としたスペシャルコンテンツをレポートする。
S/PARK Beauty Bar
S/PARK初のオリジナルフレグランスを体験
館内に入りまず最初に飛び込んできたのは、2023年4月28日(金)より販売中の研究員発オリジナル化粧品「S/PARK フレグランス ベイサイド カメリア」(3,300円(税込))の特設ブース。ビューティーバー ラボには香りの着想源となったベイサイドのイメージが描かれ、S/PARKを代表する新製品の世界観を表現。開発に携わった研究員も常駐し、開発の裏側を聞きながら商品が出来るまでを知ることができた。
商品とともにディスプレイされていたのは、気高い香りで知られるブルーローズやジャスミン、よもぎといった草花、柑橘の果実、ピンクペッパーといった「S/PARKフレグランス」の香りの要素となっている植物。実際に商品と植物の香りを嗅ぎ比べながら、トップノートから、ミドル、ラストへと続く、フレグランスの繊細な香りの移り変わりを感じる。
ラボの側面には、1917年から2023年までの資生堂の香りを振り返ることのできるフレグランス年表を展示。100年を超える資生堂の香りの歴史に時代の変化とともに触れることで、「S/PARKフレグランス」へと受け継がれる香りのDNAをより一層理解できる内容となっていた。
S/PARK Museum
揺動する絵画空間-化粧品原料を用いた表現の研究を鑑賞
S/PARK Museumでは、美術家 高屋永遠氏との共同研究による絵画と技法の展示「揺動する絵画空間-化粧品原料を用いた表現の研究」が開催。化粧品の原料として使用されるパール剤を絵具へ調合し制作した高屋氏のアート作品だけでなく、アトリエを再現した原寸大のジオラマや、250種以上の描画法を実験してきたなかからピックアップされた7つの技法を通常の絵画用の顔料とパール剤を配合した特製の顔料で塗布比較したパネルも展示。
メインの作品である《罔象 此方/彼方》は、真っ青のグラデーションの中に浮かび上がる夜桜のような姿に、鑑賞者の見る角度によって出現するパール剤で描かれた水の波紋を加えることで、実像にも水面に映る鏡像にも見えるという今回新しく開拓した表現が特徴的な作品。また、作品タイトルのプレートも見る角度によってタイトルが《罔象 此方(もうしょう こなた)》から《罔象 彼方(みずは かなた)》へと変化するユニークな仕掛けとなっていた。水鏡に映る夜桜のような幻想的で捉えどころのない風景を水神の名ミズハにたとえて命名したそう。
本プロジェクトを立ち上げた研究員の山脇氏は、原料開発の部署で化粧品に使われるパール剤などの色材の開発に携わったことで色に興味を持ち、より詳しく研究するために美術大学に入学したという異色なキャリアの持ち主。美術大学では、水面の表現や変化する色の見え方の研究を行ってきた。今回のプロジェクトでは、高屋氏とともに油彩絵具として扱うことのできるパール剤の開発からスタート。さらに絵画で使われる描画法へ応用し、パール剤の持つ可能性を探求した。アートの視点と科学の視点から色の見え方や塗布法の可能性を突き詰めることで、メーキャップ化粧品でできる新たな表現を広げ、ひいては自分らしさを映す出すことの後押しにつながって欲しいと想いを語ってくれた。
S/PARK Studio
アクティブビューティーセミナー 〜美肌菌研究&美肌体質に導く腸活エクササイズ〜 へ参加
1Fでは、人気の「アクティブビューティーセミナー」も開催。今回は、「美肌菌研究&美肌体質に導く腸活エクササイズ」をテーマに、肌の美しさや健康に重要な役割を果たす皮膚常在菌(美肌菌)にフォーカスを当てて、参加者の美肌菌の測定から、研究員によるレクチャー、そしてS/PARK Studio の人気エクササイズである「インナービューティーメソッド~腸活~」の短縮版を実施した。
皮膚常在菌の働きや関連する効果成分の開発を行う研究員の柴垣氏によると、近年マイクロバイオームと呼ばれるヒトの体に共生する微生物の存在について各方面で研究が進んでいるという。資生堂では、健やかな皮膚環境を保つために重要な役割を果たしている皮膚常在菌の働きに着目し、とりわけ表皮ブドウ球菌を増やすための餌となるプレバイオティクスの研究から、スキンケアによって皮膚常在菌をバランスよく保つことのできる商品の開発が日々行われているのだそう。
参加者は、セミナー開始前に「肌こあ」と呼ばれる皮膚常在菌の検査を行い、自身の肌のもつ皮膚常在菌を測定しており、セミナー終了後には登壇していた柴垣氏から検査結果の解説を受けるという場面も。この「肌こあ」は、PCR検査の技術を応用し、40分で皮膚内のアクネ菌と表皮ブドウ球菌の量を測定することのできる検査で、2022年7月からS/PARKで開始したサービス。自身の肌の環境を数値化することで、今足りていないケアや生活習慣について見直すことができる。プレバイオティクスを配合したスキンケアを取り入れたり、バランスの良い食生活へと改善することで、皮膚常在菌のバランスを調整し、肌の美しさや健康を向上させるライフスタイルについて考えさせられるセミナーとなっていた。
S/PARK Cafe
S/PARK フレグランス発売記念の限定ドリンクを堪能
最後は、S/PARK Cafeで「S/PARK フレグランス」の発売を記念して提供されている特製ドリンクのハーフサイズをオーダー。ハーフサイズはイベント時限定で「S/PARK フレグランス」購入者特典だが、フルサイズは単品でもオーダー可能。ピンクグレープフルーツのソーダに、ブラッドオレンジの氷が入っており、溶けることで色や味の変化を楽しむことができる。二層に分かれたソーダや真っ赤なブラッドオレンジの氷、仕上げにあしらわれたバラの花びらが美しく、美味しさを引き立てていた。
S/PARKの魅力を余すところなく体感することのできたアニバーサリーイベントも閉幕。S/PARKでは、「都市型オープンラボ」として研究所ならではの、最先端技術を担う研究員と気軽にコミュニケーションを楽しむことのできるイベントや取り組みを今後も継続して実施してゆく。新たな視点で “美のひらめき” と出会うことのできる、S/PARKのスペシャルなイベントに参加してみてはいかが?