FEATURE: S/PARK

S/PARKオリジナル化粧品がつなぐ、未来ヘのバトン

資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)では、4月に発売した「S/PARKフレグランス ベイサイド カメリア」を皮切りに、研究員たちがいま届けたいモノ、そしてお客さまがいま欲しいと思うモノを形にした、ここでしか出会えないオリジナル化粧品を販売しています。今回は、S/PARKオリジナル化粧品にまつわるサステナブルな工夫についてご紹介します。

オリジナル化粧品の外装開発を担当した研究員の岡本と名越

「Born in the Dreams of Researchers」というコンセプトのもと、研究員の夢やイマジネーションがつまった商品の企画から開発、製造、販売のすべてが研究員たちの手によってS/PARK内で行われているオリジナル化粧品。その注目すべきサステナブルなポイントのひとつには、外装の開発があります。

第一弾のフレグランスではリサイクル可能なガラス容器を使用していましたが、第二弾のボディミルクには、メカニカルリサイクルによって再生されたPET樹脂が使用されています。

「S/PARKボディミルク ベイサイド カメリア」の容器と使用されているメカニカルリサイクルのPET樹脂ペレット

この素材は、通常の石油から作られるバージンPET樹脂と比べて、製造時の環境負荷が低く、石油由来のプラスチック使用量の削減へとつながっています。リサイクルの原理としては、わたしたちが普段目にする飲料用のペットボトルの空き容器を資材として回収し、細かく粉砕したものを洗浄・汚染除去を行い、さらに熱によって溶かしたものを冷やし固めて、粒状のペレットをつくります。そして、そのペレットから作られる再生ボトルがボディミルクの容器として新たな役目を果たしています。

実現するにあたって課題となったのは、バージンPET樹脂で作られるペットボトルと比較して、再生PET樹脂は耐衝撃性に劣るという点だと外装開発を担当した岡本さんは言います。その弱点をカバーすべく、ボトルの厚み分布を細かく調整し、落下に強いボトルの開発に成功しました。

ボディミルクのサステナブルなポイントの二つ目は成分です。長崎県五島列島の天然資源であるツバキ種子から抽出される「ツバキ油」は、資生堂のさまざまなプロダクトで使用されていますが、多くの場合、搾油した際に残る“搾りかす”は廃棄物として処分されます。

そこで、今回はその“搾りかす(廃棄物)”から得たエキスも「ツバキ種子エキス」として化粧品に活用することにより、ツバキ種子の有効な再利用を実現。これまで見過ごされてきた原料にふたたびスポットを当てて、余すところなくパワフルな自然の恵みを活用することで、持続可能なモノづくりを体現しています。

長崎県五島列島の天然資源である「ツバキ種子」と「(油を搾りとったあとの)搾りかす」

S/PARKオリジナル化粧品のこだわりは販売時にも感じることができます。第一弾のフレグランス発売時から続けているのは、一個箱の廃止とお持ち帰り包装の工夫。ガラス容器のフレグランスも樹脂容器のボディミルクも、紙素材の緩衝材に包んでお持ち帰りいただいています。

お客さまの間でも浸透してきている脱プラスチックやマイバッグの活用といった観点で資源のムダは省きつつも、プレゼント用の包装には手に取った方の心が弾むような見た目の美しさを追求すべく、研究員のこだわりが詰まっています。

S/PARKオリジナル化粧品販売時の包装イメージ

最後にご紹介するのは、フレグランス発売イベント時に店頭でのアンケートにご協力いただいたお客さまへのプレゼントとして準備したノベルティ。100%再生紙にジャーマンカモミールの種子が埋め込まれたシードペーパーと呼ばれるもので、ひと晩水に浸したシードペーパーを土に埋めることで発芽の様子が見られるというユニークな仕様となっています。(※環境や個体差によって発芽できないものもあります)

研究所であるS/PARKならではのフラスコなどの実験器具が描かれたカードのなかに本物の種子が入っているという楽しい仕掛けは、お客さまと研究員が交わす有意義なコミュニケーションにもつながりました。

アンケート回答後に進呈したオリジナルシードペーパー

S/PARKでは、企画から販売までを研究員たちが一貫して行うことで、さまざまな取り組みに挑戦することができ、さらなるひらめきへとつながっています。これからも持続可能な研究・開発の拠点として、未来へと種をまくS/PARKのモノづくりにぜひご注目ください。