FEATURE: S/PARK Museum

サイエンステーブル③「メイクアップ」


「Science × Art」、「Life of Beauty」、「Innovations in Beauty」、そして「Future」の4つのゾーンから構成されるS/PARK Museum。各ゾーンではミュージアム全体のテーマである「美」にまつわるさまざまな問いを投げかけられ、ただ見て回るだけでなく、理科の実験のようなインタラクティブな体験ができるようになっている。今回は、なかでも一番の見所である「Science × Art」ゾーンに設置された6つのサイエンステーブルから、「Makeup」をご紹介。


「メイクというものは、そもそも人間の目の錯覚を利用しているんです。そういったことを研究しています」と話すのは、「Makeup」のサイエンステーブルの企画を担当したアドバンストリサーチセンター 心理行動研究グループの山南春奈さん。


まず、錯視とは実際のものの性質とは異なって見える現象のこと。そのわかりやすい例として展示されているのが、女性の顔が逆さに描かれたパネルだ。「こうして見ると、そんなに違和感はないかと思います。ですが、こうしてクルクルと天地を反転すると…。すごく怖い顔になりましたね!」そう言って見せてくれたパネルの女性の顔は、眉や目、口といった顔のパーツが不自然に描かれている。これは「サッチャー錯視」と呼ばれる現象だそう。


「どうしてこういったことが起きたのかというと、すごく簡単に説明すると、逆さまの顔では目や口などのパーツの変化に気が付かず、頭の中で『女性の顔が逆さになっているだけ』と勝手に解釈してしまったからです。そう解釈することによって、事実とは違うように見えてしまうというのが錯視。特に顔は非常に知覚されやすいものなので、こういった思い込みが起きやすいということも知られています」と、山南さん。


こちらのカメラが内蔵されたモニターでは、自分の顔タイプを判定してもらえる。「メイクというのは、目や鼻や口などのパーツを「変えて見せる」ということをしてくれますよね。それによってその人のイメージをつくることができる。こちらでは、顔タイプを分析し、メイクによる錯視を応用して顔の形の特徴を変えることで印象を変えて見せる体験ができますよ」。そう説明し、実際に自分の顔で試してくれた山南さんは「やさしく女性らしい」印象の顔立ち。その人の顔の輪郭やバランスなどの特徴をカメラがとらえ、判定してくれるそう。



「このタイプ判定を体験することで、新たな自分の顔に気付くとか、自分の顔が特別なものだと感じていただけるとすごく嬉しいです。なるべく幅広い年代、幅広い来場者の方に楽しんでいただけるものにしたいという思いがあったので、いろいろな方にとっての気付きとなることを心がけながらつくりました」と、山南さんが笑顔で語ってくれた。こうした錯視について知ることで、メイクアップの奥深さや楽しさについて、より知ることができるはず。